日和やオリジ等々の、絵ログや駄文を置く倉庫。
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オリキャラで短い話を書いてみる。
前の話『空の話』とつながっている時点で、短くないというツッコミはしないでください。
一次創作(オリジナル)なので、そういったものが苦手な方、嫌いな方は
このままスルーすることをお勧めします。
見てしまった後の苦情は受け付けません。
※2010.05.24 一部内容修正
前の話『空の話』とつながっている時点で、短くないというツッコミはしないでください。
一次創作(オリジナル)なので、そういったものが苦手な方、嫌いな方は
このままスルーすることをお勧めします。
見てしまった後の苦情は受け付けません。
※2010.05.24 一部内容修正
ガラクタ置き場で出会ったのは、とても不思議な少女だ。
いや、不思議というと神秘的で何か聞こえはいいが、自分の感じた第一印象とは
少し違うと思った。
的確に表現する言葉としては、”変な少女”…コレが一番ふさわしいだろう。
出会った第一声、「間抜けな顔」と眼を合わせて言われ、重量があるであろう
車輪や大きな鉄の塊を、力学を使っているとはいえシャベル一本で崩し。
今、初対面である自分の腕を掴んでいる。
ガラクタの下に埋もれているような怪しい――自分で言っていて複雑だ――人物を
放っておくこともできただろう。
というよりも、同じ状況に自分が遭遇したら放置している。
警戒心がないのかと思ったが、そういうわけでもないようだ。
”ココ”は、ガラクタの山が広がっている。
足元も山と同じようにガラクタだらけで、誤ったところへ足を乗せれば
ガラクタが崩れて転倒すだろう。
実際に自分自身が、何度か転びそうになっているが、
度々目の前を率先して歩く少女に
「ソコは注意して」「滑るから…」等と言葉多くはないが
危なげな場所を教えてくれる。
ありがとう、とそのつど礼を言えば、首をかしげて「そう」と小さくつぶやく。
少女は黙々と歩く。
たまにこちらを振り返って、こちらがついてきているのを確認すると
また前を向いて歩き出す。
どこへ向かっているのかはわからない。
わからないが、今はこの少女についていく以外に、この 【junk Field 】と言う場所を
安全に――安全とはまた違うだろうが――歩き回ることはできそうになかった。
【junk Field 】の詳しい場所判らない(そもそもソレが何なのかもわからない)が、
自分の見る限りでは、とても高い壁に囲まれているガラクタ…ゴミ置き場のように思える。
建物らしい建物は見当たらず、足元に鉄くずや角材などが乱雑に散らばっている様は
とても治安の良い場所とは思えなかった。
「確かに、治安は良くないわね」
半分ぼんやりとしていたらしい。
はっきりと意識が眼に戻ると、目前に少女の顔があり、驚いて一歩下がった。
大きな赤い眼が、無感情にこちらを見つめてくる。
今の少女の言葉を聞くに、知らずに口から言葉が出ていたらしい。
「間違ってはない。でもわかってもいない」
少女は口を動かし、はっきりとした声でそう言うと
踵を返し――今気づいたが彼女は下駄を履いていた――今まで進んでいた方向へ
歩を進めなおした。
どういうことなのだろう。
たずね様とすると、少女はゆっくりとした動作で首を動かした。
背中しか見えないが、どうやら上を向いたようだ。
彼女と同じように上を見上げると、金色の空を隠すように煤けた色の雲が
空を吹く風に運ばれていた。
「雨が降る」
少女がつぶやき、身体を少しひねってこちらを見た。
互いにしばらく言葉を発しなかったが、やがて少女は
ゆっくりと唇を動かした。
「風はだいぶゆっくりとしている。
あの雲が上を隠すまでまだ時間がかかる。
今すぐに雨が降ってくるわけではない。
ねぇ。
あなたは何をそんなに恐れて、震えているの?」
少女に指摘されて、初めて自分の身体が震えているというコトに気がついた。
両手を胸の辺りまで持ち上げて見ると、小刻みに震えているのが良くわかる。
ついさっきまでは、こんなに震えていなかったはずなのに。
震えを沈めようと、両手に強くにぎしりめると、震えは先ほどよりも小さくなった。
息をひとつ吐いて、少女に向き直ると、変化しない無感情の目が
僕を見続けていた。
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