日和やオリジ等々の、絵ログや駄文を置く倉庫。
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エリーザベスの口調とかを簡単に書きたかったSS。
特に何かあるわけでもないので追記に。
「そこの方。聞きたい事がありますわ」
後方から聞こえた少女というには落ち着いた、女性というにはまだ幼い声に反射的に振り返れば、
ジャンクフィールドという、がらくた置き場には不似合いな、こぎれいな姿をした女性が
腰に手を当ててこちらを睨んでいた。
見覚えのないその女性の姿に首を傾げれば、女性は足場の悪いがらくたの道
を邪魔そうに避けながら、こちらへと歩み寄ってきた。
「お聞きしたい事がありますの。この辺で、くるくるした長い金髪で、
スコップを持った態度のでかい女を見ませんでした?」
このジャンクフィールドで女性の言った特徴に合う女―というのはどうも違和感がある―は
かなり限られている。というか、1人しか思い当たらない。
若草色をした膝丈までのドレスを纏った女性は、どうみてもジャンクフィールドにはいないモノ。
よってこの町の『外』からやってきた事になるが、この町のヒトの話では、
町の『外』から来るヒトの半分くらいはあまり良くないヒトだという。
女性の探しているという人物のところへ案内してもいいものか、若干不安がある。
いつまでも返答をしない事に痺れを切らしたのか、女性のきれいな形をした眉がつりあがった。
「ちょっと、聞こえているのでしょう!?お答えなさい!!」
思いのほか大きなその声が、耳にキンキンと響く。
思わず耳をふさげば、女性はハッとしたように口元を押さえて、小さく咳払いをして見せた。
「失礼しましたわ。ですが、早く答えないアナタも悪いのですわよ」
自分だけが悪いのではないと、さらに目で訴える女性に、思わず苦笑を浮かべてしまった。
「初対面の相手に、いきなりあのような質問も失礼でしたわね。紹介が遅れましたわ。私は……」
「あら、こんな所にいたのね」
女性の言葉をさえぎったのは、まさに女性が探しているのであろう人物、がらくたサマだった。
小高く積まれたガラクタや鉄屑の上から、軽やかに降りたがらくたサマは一度、
女性に目を向けると、そこには何もいなかったかのようにこちらへ向き直り、小首を傾げてみせる。
「どうかしたかしら?」
何事もないように言うその口調は普段の通り。
その様子を見ていた女性は、わなわなと肩を震わせている。
その気迫が重く、がらくたサマにこっそりと、彼女の事を話してみると、
先と同じように女性のいる方向を見て、やはり何もないようにこちらを向きなおした。
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