忍者ブログ
日和やオリジ等々の、絵ログや駄文を置く倉庫。
[264]  [263]  [262]  [261]  [260]  [259]  [258]  [257]  [256]  [255]  [254
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




「ほんの数秒前までいた秦広王がいきなり消えて、周りが何事もなかったかのように
 俺のことを”秦広王”と呼び出した時には、まぁ、ゾッとしたな」

―――で、当たり前のように裁判をこなせる自分にも寒気を覚えた。

パラパラと書類に捺印しながら、秦広王は答える。
都市王はもてなしとして出された茶を啜りながら、黙って話を聞いた。

「先代と面識のあった十王はいなかったみたいだから、あの時
 十王達には何の変化もなかっただろうが、この秦広庁に勤めていた役鬼達は
 今までつかえていた王がいきなり変わっても、何も変わらなかったな」

―――最初から俺が秦広王であるかのような態度で接してきた。「

だから、俺が新しい秦広王と交代したとしても、ここで行われる裁判に
 何の影響も支障も出たりはしないだろ」
「けど、初江庁は支障が出るかもしれないヨ?」

 ―――あの泣き虫な裁判官は、きっとたくさん泣くだろうから。

秦広王の手の動きが止まり、亡者の裁判を終えていた秦広庁に一瞬の静寂が訪れる。

「くだらねぇ、面識のある十王であっても、消えていく十王のことは冥府の摂理で
 勝手に忘れて、新しい十王が仕事しやすいように記憶を改ざんするんじゃねぇか」
「改ざんしてもネ、覚えてるヤツは覚えてるんだヨ」
「お前みたいにか?」

まさか、と都市王は苦笑を浮かべる。

「俺はそこまで記憶力よくねぇんダ。
 いなくなったヤツらのことまで、いちいち覚えちゃいないサ」

口調は軽いものだった。
けれど、浮かべたその笑みには、穏やかな寂しさが表れていた。





十王の中で現在最も古株の都市王。
今まで交代した十王で、面識のあった十王のことは少し覚えているが
少しずつ忘れていっている。
冥府の摂理(忘却の部分)に十王として従う形になってしまっていることに
若干憤りを感じている。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[01/30 刺磨]
[01/29 ハレタカ]
[11/27 刺磨]
[11/26 ハレタカ]
[10/30 刺磨]
最新記事
(01/01)
(04/29)
(04/09)
(04/08)
(04/07)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
刺磨
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]