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JF話もそもそ。
短編は上手くまとまらなくて嫌になっちゃう(´・ω・)
「ねぇ、ヒカルの世界も、空は青いの?」
昼食を取った後ののどかな時間に、コリコが声をかけてきた。
何ということない、世間話のようなその問いかけに、ヒカルはコクリと頷いた。
「ここは金色の空なんだね」
「そうだよ、綺麗でしょ?」
どこか誇らしげに笑うコリコの笑顔に、ヒカルもまた笑った。
「違う空の色ってどんな感じがする?やっぱり気味が悪いとか、嫌悪感がある?」
思いついたように口から出た言葉のあと、困ったような顔になった緑髪の青年を見て
密かに、百面相のようだ、とヒカルが思ったのは秘密事だ。
「そんなことはない、綺麗だと思うよ」
ヒカルの言葉に、コリコはほっと胸をなでおろした。
そこへ、コーヒーカップを持ったジルフェオードが通りかかった。
「あら、2人して何の話をしてるの?」
「ヒカルの世界の空とこっちの世界の空の色の話をしてたんだ」
「あぁ、他の世界の空って、青いって聞くものね」
この世界【エヴェルブ】には、ヨソビトと呼ばれる他の世界からやってくる
ヒト達がいると聞くため、そのヒトたちの話を聞いて、知識を得ているのだと
ヒカルは聞いたことがあった。
「やっぱり、気味が悪いとか嫌悪感あったりするのかしら?」
コリコと同じ問いに、ヒカルは苦笑いして首を振った。
「大昔は、この世界の空も青かったと聞いているわ」
「え」
ジルフェオードの何げない言葉に、ヒカルは音を漏らした。
クスリと笑うジルフェオードを見て、からかわれたのかと思ったが
ごめんなさいと謝るため、納得いかない思いが残った。
「そういう話があるって言うのは本当よ。真偽のほどは解らないけどね」
「あ、それ知ってるよ。御伽噺でもあるよね」
「あら、随分マイナーな御伽噺ね」
「まぁ、珍しい本ではあったと思うよ」
2人の会話に入れず、ヒカルがぼんやりとやり取りを見ていると
気づいた2人が申し訳なさそうに謝った。
「えっとね、ざっくりとした内容は、大昔、神話時代と呼ばれた時代に
夜を総べる神がこの世界を滅ぼそうとしたんだけど、それを朝を総べる神が食い止めた。
自分の身を犠牲にして、夜を総べる神を封印したんだけど、激しい争いで空が崩れて
その時に、創星ノ戯心が空の崩壊を防ぐために結界を張ったことにより
世界の空の色が変化したんだって」
「今空の色が金色なのは、結界が張られているからなのよね」
「本当かどうかわからないけどね」
神同士の戦いとは、随分と物騒なものだと思う。
「まぁ、争いの結果が今のこの空なんだけど、僕はこの空嫌いじゃないよ」
「そうね、御伽噺のような話だもの。それに…」
言い淀んで、ジルフェオードはカップのコーヒーを啜る。
「それに、あの空はあの子と同じ色だもの」
「あの子?」
「あー…先生も同じこと思ってるんだ」
え、と声を漏らすヒカルとは逆に、ジルフェオードとコリコは互いの顔を見て
すぐに顔をそむけた。
心なしか顔が赤くみえるのは、気のせいだろうか。
この雰囲気を脱出するために、何か声をかけるべきかと思いヒカルが口を開く。
「ジルフェオードはいるかしら?」
カランと乾いた音が響き、そちらに意識を向けると、外から帰ってきたがらくたサマが
扉を開けてこちらへやってくるところだった。
「あ、あらソラ、アタシに何か用かしら?」
「えぇ、集落で風邪が流行っているみたいで、検診をお願いしたいと言伝を頼まれたわ」
「そういえばそろそろ定期検診の頃だったわね。わかったわ、今から行ってくるわね」
「お願いね」
ジルフェオードが検診の準備をするため、自分の部屋へ戻ると
コリコも用事があると言って外へと出て行った。
2人がいなくなって、食堂にはヒカルとがらくたサマが残った。
いまだに二人きりに慣れていないヒカルは、がらくたサマをちらりと横目で見ながら
自分の手元にあるコーヒーカップを指で遊ばせた。
がらくたサマはそんなヒカルを気にすることもなく
日常風景となっている食堂の掃除を行い始めた。
ふとヒカルが目をやると、がらくたサマも金糸の髪が窓から差し込む
太陽の光で、キラキラと輝いた。
そうして、あぁ、と気づく。
コリコとジルフェオードはこのことを言っていたのだ、と。
空と同じ色をしたがらくたサマの金色。
決して嫌味な色ではない。
むしろ心地よい、いつまでも眺めていたい色だった。