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日和やオリジ等々の、絵ログや駄文を置く倉庫。
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オリキャラで短い話を書いてみる。
前の話『空の色』『空の色【荷】』とつながっている時点で、短くないというツッコミはしないでください。

一次創作(オリジナル)なので、そういったものが苦手な方、嫌いな方は
このままスルーすることをお勧めします。

見てしまった後の苦情は受け付けません。




※2010.05.24  一部内容修正



「アナタが何故”ココ”にいて
 何故そんなに震えているのか、私にはわからないけれど…
 好んでここにいるわけでは、ないでしょう」

無表情のまま踵を返し再び歩き出した少女の背中を
追うように歩を踏み出す。
少女の向かう先に眼をやると、壁のように積み上げられた
がらくたの山と、巨大な板のようなものが見えた。
何かの扉のようにも見えるソレの向こう側は
がらくたの山と板によって窺うことはできない。

「アソコが”ココ”と外との境。
 好きでここにいるのでないならば、出たいでしょう」

でたい、のだろうか。

確かに自分は、自分の意思でココに来たわけではないと思う。
好きでこの場所に立っているわけでもないはずだ。
辺りを見回せば、鉄くずや壊れたガラクタの残骸。
ずっとここにいたいのかと問われれば、
本来の自分ならば、いいえ、と答える。

けれども。


「       」

ココを出て、どうすればいい。


少女が怪訝そうな顔をしたところを見ると、
どうやらまた口から声として出ていたのだろう。

けれどわからないのだから。 

ここを出てどうすればいいのか。
ココから出て、何かしたいのだろうか。
今の自分が置かれている状況も、正直理解はできていない。。

なしたいことも、いきたいところも、ココを出たい理由も。

ただ漠然と、流れのままにココへたどり着き
ただ漠然と、ここにいるだけ。

どうすればいいのだろう。

自分のことであるのに、自分がどうしたらいいのかわからない。

そう考えると、ぽつぽつと漏れていた言葉は消え
開いていた口は重く閉じた。

鉄くずの山に静かな風の音だけが響く。


「それなら…」

そんな静寂を破って、少女が声を発する。

言葉はすぐにとまり、声の主はしばらく瞑目し、また目を開く。


「それならば、ココに残ってみてはどうかしら」

このガラクタ置き場に。

自分は声を発していた環ではないはずだが、彼女はまrで
言葉を聞いていたかのような口ぶりで話し出す。

「”ココ”は、様々なモノが集まる場所。
 アナタのように、どうしていいのかわからずに
 この中で暮らすヒトもいる。
 どうしたらいいのかわかって、出て行くヒトもいる」


「アナタも”ソレ”がわかるまで
 少し歩くのをやめてみたらどうかしら?」


赤みのある双眼と、少女の片手がこちらへ向けられる。
差し出された手を一瞥し、もう一度少女を見る。

迷いも、不快も、警戒もない少女のまっすぐな視線。

ほんの少しだけ、ソレに恐さを感じた。
けれども、自分の手はゆっくりと少女の手に向かい
震えるように差し出された手を取った。


「ようこそ、こんなところへ。
 歓迎、という言葉があうかはわからないけれど
 歓迎するわ、がらくたの子」


自分をさして使われたのであろう、がらくたの子、という表現に
おもわず自嘲がこぼれた。

そういえば、自分から少女の名前を聞くだけ聞いたのに
自分の名前をきちんと名乗っていなかった。


少しだけ。

本当に少しだけ迷って、自分の名前を少女に告げた。



 

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