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他所様ではCSネタが流行中。
しかし刺はわが道を全速全進で爆撃する。
CSネタのスキットを考えている最中に、変な角度でネタ決まった結果
書き出してかきあがったもの。
絡みなんて一切なかった二人をチョイスしてしまった刺を誰か踏むとよろしい。
あえて言います。
刺の自己満足だと!!!(カッ)
ハレタカさん、おこさんをお借りしました!!!
苦情はハレタカさんのみ受け付けるます!!!(ピルピル)
若草のような髪の色に、夜を薄めたような青の瞳。
自分の知るような、ヒトであるならば
本来は耳がある箇所には、魚のヒレ(のようなもの)が
はえていて、そのすぐ上には、角のようなものもついていた。
小さな体のわりには、存在感のあるその変わった風体の子供は、
一定の距離からこちらに近づこうとはせず、じっとこちらを見ていた。
いったい何なのだろうか。
ココには、誰も招いた覚えはない。
だからその子は、知らずにココに迷い込んだことになる。
子供には不似合いで、無意味なココに。
お互いに一定の距離を保ったまま
ただ視線を交わしあうだけだったが、それでは埒があかない。
声をかけようかと思い、口を開こうとした時だった。
「誰?」
子供が首を傾げながら、そうたずねてきた。
名乗ろうか否か、少しだけ考えた。
その考えている間に、子供の周りの風景が変化する。
曖昧な色をした空間から、木々の生い茂る鮮やかな森に。
見覚えのないその森は、つまりその子供が知る景色なのだろう。
キョロキョロと変化した周りの風景を見回して
不思議そうな顔をするその子の様子が、
あまりにも幼いその姿に似合っていて、思わず笑ってしまう。
詫びのつもりで、先ほどの問いにこちらの言葉で答えると
思った通りの反応というのだろうか、同族しか解らない言葉故、子供は再度首を傾げた。
「君は、何故ココにいるの?」
先ほど思ったコトを子供に問いかける。
ココには他に誰も招いていない。
だから自分と、自分が連れ込んだモノしか、いないはずであるのに。
こちらの問いかけに、子供は目を瞬かせ、答えた。
「さっき、きれいな花見つけてん」
「花?」
「みたことない花やから、おかんに見せよ思て」
子供の視線が、こちらの後方に向けられる。
視線を追って見ると、白い小さな花々が、木々の間に揺れ咲いていた。
こちらでは珍しくもない、一定の暖かさがあれば咲くの花だったが
その子の居る場所には咲かないのだろう。
子供はその花を見ているだけで、一定間隔に保った距離を詰めようとはしなかった。
近づきすぎると危ないということが、本能的に解っているのだろうか。
花を取りにいきたそうに、足を少し前に踏み出しては、また足を下げる
まるで踊りのステップのようなことをしていた。
こちらとしても、その子供がそれ以上の距離を詰めてくることは望んでいない。
だから、手近に咲いていた
その白い花を一つ摘み取って、子供に近づく。
「手を出してごらん」
いわれるままに両手を器のようにして、子供が手を出す。
摘み取った花を少し高い位置からその手の中に落とすと
花を途端にふわりふわりと数を増やして、子供の手の中に落ちるときには
その子の手の器いっぱいに花が増えていた。
手中の花の山と、こちらを驚きながら交互に見る子供。
純粋な驚きが新鮮で、頭を撫でようとして、止めた。
子供には、まだ聞こえていないのだろう、様々な方向から
誰かが何かを必死に呼ぶ声が響いていた。
それは名前のようにおもった。
最初は小さく遠くに響いていた声は、少しずつ大きく近づいてくる。
これだけ近い声になると、さすがに子供も気づいたようで
上の方を見上げて、声の主を捜し出した。
「知っている声?」
「うん、おとんの声や」
「じゃぁ、これは君の名前?」
「うん、僕の名前」
聞いたことにはちゃんと答えているが
四方から聞こえてくる声のせいで、どこへ向かえばいいのか迷っている。
表情からは解りづらいが、少しずつ子供の声が小さくなっている気がした。
不安で泣きそうな声、の様に思えた。
「おとん、どこにおるん?」
「この森は、君の知っている場所?」
「うん、住んでる所やから」
納得した。
だからこの風景は、おぼろげな景色ではなく
存在感や植物の気配が感じられると錯覚するほど、鮮明なモノなのだと。
この景色の場所に、子供は住んでいるという。
それならば、
「家の場所は、解る?」
「おっきな泉のある場所におるよ」
「それなら、君のお父さんはそこにいるよ。すぐにそこに行くといい」
「そうなん?」
「うん、そうだよ」
そこへ向かう道を確認するように振り返った子供の肩を軽く押すと、迷うようにこちらを見る。
不安げ、という言葉がぴったりの表情だ。
自分がついていくことも、できないわけではないが
そうするとココはとても不安定になる。
今自分のいるココが、子供に近づいても空間に異常を出さないギリギリのところ。
けれどこのままだと、この子供をココを動くかどうかわからない。
かといって、ココに止めさせておくこともできない。
考えていると、こちら側の領域が震えた。
領域は一瞬水を揺らしたように景色がゆがめ、ゆっくりと姿を変えて後ろに気配を形作る。
どうやら、領域をこえきれない自分の代わりに、子供を送ってくれるらしい。
「僕は一緒にいってはあげられないから、この子について行くといいよ」
その言葉に子供は首を傾げる。
いったい何を指していった言葉なのかが解らなかったのだろう。
しかしゆっくりと、示した対象が子供の前に姿を現すと、子供は小さく驚きの声を上げた。
その子の世界では何というのかは知らないが
こちらの世界では馬と呼ばれる動物に分類される姿をしている
この領域の象徴、【常闇の祭:ナイトメア】
漆黒の馬の姿をした領域の象徴は、子供の頭に一度鼻先でこづいて(どうやら撫でたつもりらしい)
子供の背中に続く道先へと促した。
子供は少しだけ止まって、すぐにこちらを向いた。
「一緒にいかんの?」
「うん、僕はここでやるコトがあるからね」
そういうと子供は俯いて、再び顔を上げた。
「花、おおきに」
腰を折ってのお礼。
お礼を言われるほどのことはしていないが、
どういたしまして、と言葉を返す。
子供がナイトメアの横につくと、ナイトメアは一度こちらを振り返り
ゆっくりと子供に合わせるようにして歩きだした。
道を行く最中、何度か子供はこちらを振り返っていたが
やがて景色がぼやけ出すと、子供とナイトメアの姿は見えなくなった。
姿が見えなくなると、木々の生い茂った風景は、元の不安定な領域に姿を戻す。
子供が迷い込んでくるまえの、自分の領域。
子供には住んでいたという森しか、見えなかっただろうが
この領域には招き入れていたモノもいた。
だが、あの子供には見えなくてよかったかもしれない。
見る必要もないものだろう。
遙か後方の不安定な領域内。
そこで、無数の鎖の陣に拘束され、タノシイ夢を見続ける、たくさんのヒトの姿。
夢の中で夢を見ていることにすら気づかないヒトの間を縫うようにして
役目を終えたナイトメアが戻ってくると、夢と夢とのつなぎ目は切れて、夢は意識の大海に戻る。
すべての景色が緩やかにゆがみ、領域のすべてが霧散した。
領域の中に残ったのは、領域の象徴とその主。
主たるヒトが、象徴である漆黒の馬の背に乗ると
馬は嘶いて、ゆがみ、霧散した景色の中へと主を乗せて消えていった。