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日和やオリジ等々の、絵ログや駄文を置く倉庫。
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緑の片割れのいきさつについて、軽くメモ。




シニタクナイ。

体中が痛みに襲われて、声を絞り出すのもやっとだった。
あの高さから落ちて生きているのは、まさに奇跡といえるだろう。
とはいえ、打ち付けられた体は痛みの悲鳴を上げ
いつ生の鼓動を止めてしまうのかわからない。

まだ死ねない。
死んではいけない。
あの子は泣いていたではないか。

片割れの泣き顔が記憶に焼き付いて消えない。
落ちてゆくこの身体に向かって、必死に手を伸ばしていた。
あの子はまだ、この先の見えない塔の上で泣いているのだろうか。
それとも、追走者たちに捕らえられてしまっただろうか。
いずれにしても、地上からでは塔の上方を見ることはかなわない。

起き上れるだろうか。

身体のあげる悲鳴を押し殺して、指に力を込めてみるが
そこに感覚はなく、力が入っているのかどうかもわからない。
痛みからか、それとも別の理由からか、翠の両目から涙がこぼれる。

せめて笑顔にしてあげたかった。

片割れの泣き顔を思い出し、さらに涙があふれる。
徐々に瞼が重くなり、身体から力が抜けていく。

「おや珍しい、こんなに強い思いを持った子供がいるなんて」

この場に似つかわしくない軽い口調に、閉じていた眼が薄く開いた。

「こんにちは、まだ生きているかな?」

金色の髪に黒いマント。
この街に相応しくない装いをした”大人”だ。
追走者たちの仲間だろうか。
しかし男は、何かしてくるわけでもなく、ただこちらを見下ろして微笑んでいる。

「あぁ、僕は怪しいモノじゃないよ。ヒトの思いに答えるモノさ」

わけがわからない。

男の言っている意味も、何故男がここにいるのかも。

「生きたいって、強い思いを感じて降りてきたんだよ。
 まさかこんな年端もいかない子供の思いだとは思わなかったけど」

ねぇ、まだ生きていたい?

男の質問に一度目を閉ざす。
生きていたいかじゃない、生きなければならない。
でなければ、あの子は独りぼっちになってしまう。

「いいよ、それなら生かしてあげる」

そんなことができるのかと。
この死にかけた体を、また生かすことができるのか。
動かない首の代わりに、視線だけで男を見れば
優しげに細められた深い緑の双眸が、こちらを見下ろしていた。

「言い遅れたね。僕はキミたちが”創星ノ戯心”と呼ぶ存在だよ」

よろしくね、と男は笑って手を差し出した。
動かない身体で手を上げようとすると、先ほどまでの痛みが嘘のように
消えてなくなり、男の手を易々と取ることができた。

「君の願いをかなえる手伝いをしてあげよう。その代り、僕の手伝いをしてもらうからね」

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